GRASS踏圧や上載荷重に耐える芝生基盤

安全で安心できる都市づくりのためには、都市の防災機能を向上させることが必要不可欠です。大規模災害が発生した際、都市公園は地域の避難場所や防災活動拠点、自衛隊による物資配送等の支援活動拠点としての活用が期待されます。芝生広場は一時的な避難生活場所となることを想定し、水はけを良くするための通気透水性や、防災活動拠点として緊急車両の乗り入れ等に耐え得る強度設計を行います。

グリーンインフラを活用した防災・減災対策

芝生用耐圧基盤 参考断面図

芝生広場の植栽基盤として、芝生用耐圧基盤土壌/雨水貯留浸透機能付き植栽基盤材(グラスミックス)を使用します。ヘリコプターの離発着や緊急車両の進入に耐えられる強度と、芝生の生育に支障のない軟らかさを持つ土壌です。震災時、芝生根系がフィルターとして作用し、液状化による噴砂を軽減することも報告されています。

ポイント① 擦り切れからの速やかな回復

多孔質の火山礫を主骨材として、空隙に生育助材を配合。重力水を浸透させ砂の2倍以上の保水性を有し、空隙からは余剰水が排出される。主骨材の噛み合わせ空隙に根を伸長させて、踏圧の影響を受けない生育空間を確保している為、繰り返し踏圧により擦り切れても、早い回復が期待できる。

ポイント② 車両の乗り入れが可能な強度設計

路盤と同等の耐圧性能である、修正CBR値20%以上を確保しています。22tの大型はしご車がアウトリガーを出して作業をしても十分な強度を有していることが実証されています。この値は一般的には芝生基盤にとっては固すぎるものですが、グラスミックスは強く転圧を受けても、根の伸長範囲を制限しない基盤構造の為、芝生の生育に全く問題ありません。

ポイント③ 経年劣化のない芝生基盤

公園等の臨時駐車場や校庭芝生等で10年以上採用され、経年変化を継続調査しています。空隙構造や水分浸透速度に大きな変化がないことを確認しています。

芝生基盤と芝草の選択(基盤の固結による枯れを防ぐ)

芝生の生育不良の原因には、土壌の締め固まりによる根の発達不良や、透水・通気性不良による根腐れなどが挙げられます。「早く使える」そして「長く使える」芝生空間を実現するためには、根が深く多く伸びるための空隙を確保し、踏圧に強く上部のすり切れ等からの回復が早い基盤づくりが重要です。

土壌の締め固まりの原因 過度な使用頻度と繰り返し踏圧により沈下し、土中の空気層が減るため。
改良ポイント 踏圧や車両等の上載荷重に耐える強度と、根の伸長できる噛み合わせ空隙が確保された基盤をつくります。

芝生用耐圧基盤土壌(グラスミックス)は、高強度の大粒径骨材により上部からの転圧に耐える構造を形成し、土壌の締め固まりを起こしません。骨材同士の空隙と配合された生育助材により、芝生の根は早期に根系を伸ばし健全に成長をます。これにより踏圧等による上部のすり切れ等が発生しても回復が早いのが特徴です。

芝生用耐圧基盤土壌の基本構造断面図

化学性 物理性 貯水能力
pH
(H2O)
EC
ds/m
腐植含量
g/kg
全窒素
g/kg
CEC
cmol(+)/kg
飽和透水係数
m/s
有効水分保持量
L/㎥
95%修正
CBR
空隙率
%
4.5~8.0 0.1~0.5 30以上 0.6以上 6以上 10×10-5以上 100以上 20.0%以上 15
上層 芝生用耐圧基盤土壌
雨水貯留浸透機能付き植栽基盤材「グラスミックス」
空隙率(礫間貯留率)15%


※設計CBR値20以上

下層 芝生の根が伸張可能な排水層
根系誘導耐圧基盤「パワーミックス」
空隙率(礫間貯留率)30%
高空隙・目詰まり抑制貯留浸透基盤材「J・ミックス」
空隙率(礫間貯留率)41%

※地域や現場状況によって仕様が異なります。

芝生基盤に使用する資材

芝生用耐圧基盤土壌/雨水貯留浸透機能付き植栽基盤材*(グラスミックス)

単粒度の骨材で転圧に耐える骨組みを形成し、その嚙み合わせ空隙に細かい粒子を入れることで、芝生の根が自由に伸長できる有効土層域を作り出します。耐圧強度も高く車の乗り入れや緊急車両の乗り入れも可能です。

(公社)雨水貯留浸透技術協会 評価認定

製品基準値(例:関東の場合)

耐圧ドレーン板

ポリエチレン製。立体網状体でありながら通水断面に複数の中空部を有する。通常用いられる暗渠管と比べて平滑で薄いため、掘削量が少なくても確実に排水を取ることができます。

暗渠配水管や勾配を取るなど路盤排水性を必ず確保してください。

現地調査により、予め土壌の透水性と硬度を確認することで、土壌の固結を未然に防ぐ植栽基盤づくりをサポートいたします。

芝草の選択方法について

芝草は大きく分けると「暖地型」と「寒地型」に分かれます。関東以西の利用頻度の高い芝生化には、高温と乾燥に強い暖地型で、擦り切れや踏圧に強く、生長の早いスポーツターフ「ティフトン419」をお勧めします。寒地型は通年緑ですが、高温に弱く東北以北での使用に向いています。関東以西では、暖地型をベースに、寒地型の短年草をWOS(ウィンターオーバーシード)し、冬季も緑を維持させ休眠中の暖地型芝草を踏圧、擦り切れから守るという手法が一般的になってきています。

細砂の苗床を使用し、1年程度生育させることで厚い地下茎層が形成されたロール芝(ティフトン419)。耐擦り切れ性と高い回復力を実現します。