IMPROVEMENT土壌改良・植栽基盤整備

生育不良を起こさないための基盤づくり<樹木>

緑豊かな景観づくりには、緑の量と質が求められます。樹木は「土に植えておけば自然と育つ」と思われがちですが、植栽基盤の整備を疎かにすると樹木は生育不良を起こし健全に生育することができません。枯れや衰退などの生育不良を未然に防ぐためには、樹木の品質だけでなく、植栽予定地の土壌分析データをもとに、想定される問題を判断・評価し整備目標*に沿うように対策の検討・立案を行います。

緑化事業における植栽基盤マニュアル((社)造園学会)や植栽基盤整備技術マニュアル((財)日本緑化センター)

植栽基盤整備計画のポイント

①排水の確保

植栽基盤整備の中で一番重要なポイントです。排水不良は先枯れや樹形の乱れなど、生育に悪影響を及ぼす根腐れを引き起こします。

②土壌の透水性と適度な硬度

根の伸長には、土壌中に十分な酸素と適度な硬さが必要です。土壌改良材を混入することで土壌の固結を防ぎます。

③pHなどの有害物質除去

コンクリートガラや土壌固化剤の影響で、アルカリ化障害を起こす可能性が高まっています。

④適度な保水性と養分性の確保

砂質土壌を植栽基盤として使用する場合は、特に改良が必要です。

⑤客土の品質確保

植栽に適した土壌を確保するのは容易ではありません。予め土壌の問題を改良した客土を使用することも大切です。

豊かな緑には、「基盤」が欠かせない

有効土量の違いによる20年目での生育差。同時期に同サイズで植栽されたケヤキ。風格ある樹形、樹冠を形成するには、十分な植栽基盤が必要であることがわかる。

生育不良を起こさないための基盤づくり<芝生>

芝生広場は都市の魅力を向上させる有力なコンテンツですが、適切な基盤整備と維持管理計画を行わないまま植栽し、健全に生育しないケースがよく見受けられます。設計段階では、芝生を植栽する場所の立地環境や利用目的等を良く理解し、芝生広場に適切な基盤づくりと維持管理計画を行うことが重要です。

植栽基盤整備計画のポイント

①事前計画(芝生が生育できる環境かどうかの検討)

立地環境 芝生の成長には日照が欠かせません。年間平均6時間以上の日照が必要です。特に南、西側の樹木、建物には注意しなければなりません。
利用目的や頻度 芝生広場や駐車場、校庭などの用途および利用頻度によって、芝生が受けるダメージと回復力のバランスを想定した設計が必要です。
排水計画 暗渠排水管の敷設や排水溝、排水桝の適正な設置が必要です

②芝生基盤と芝草の選択

基盤選び 基盤の固結による排水・通気不良は、根腐れや生育不良を引き起こします。芝生が健全に生育できる環境をつくるためには、「芝生用耐圧基盤土壌」が有効です。土壌の締め固まりを起こさずに根の伸長のための空隙を確保することができます。
芝草選び 大きく分けると「暖地型」と「寒地型」に分けられます。地域や用途から、踏圧耐性、回復力、メンテナンス頻度などを考慮して、適切な芝草を選びます。

③維持管理計画

一年中有効に使い続けるためには、事前の維持管理計画と、利活用を促進するための体制や賑わいづくりが重要です。運営する団体や自治体に加え、専門業者と事前に管理運営計画を策定することが、芝生広場の更なる魅力向上に繋がります。