CAR TRACK LANE軌道敷緑化
現在、国内では19の路面電車が走っています*。最近では、低床式車両の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性や定時性、快適性などの面で優れた特徴を有する次世代型路面電車システム「LRT(Light Rail Transit)」が、人と環境にやさしい公共交通として再評価されています。
このLRTと合わせて、都市のヒートアイランド現象の緩和効果や都市景観の向上に貢献する「軌道敷緑化」への関心が高まっています。アスファルト舗装やコンクリートが打設された軌道が緑で覆われることで、周囲の温度が下がります。また、低床式車両と軌道敷緑化導入によって騒音や振動が減少するとともに、街の景観を欧米のような風格ある雰囲気に演出することも可能です。
軌道敷緑化を成功させるためには、植物が健全に生育できる基盤づくりだけでなく、防災時の避難路、あるいは集中豪雨時の地表面からの雨水浸透、一時貯留による洪水抑制効果など、複合的に都市機能を補完できる緑として位置付けていく必要があります。軌道敷緑化の事例として、鹿児島市電軌道敷緑化整備事業についてご紹介します。
2018年10月現在
鹿児島市電軌道敷緑化整備事業の取り組み
鹿児島県では、緑を活用した全国でも新しい都市景観の演出の試みが始まっています。それは市民の足となる「鹿児島市電」の軌道敷内を緑で覆い、ヒートアイランド現象の緩和や沿線騒音の低減、景観性の向上を図るというものです。
緊急車両が立ち入ることも想定される軌道敷緑化では、芝生の擦り切れ対策や生育基盤の踏圧対策など、通常の緑化とは異なる対策を施す必要があります。今回の軌道敷緑化では、事前に鹿児島市によって試験施工や様々な検証が行われ、保水性と断熱性、及び耐圧機能に特徴のある「シラス緑化基盤」と、地元客土に土壌改良材を数種類ブレンドした客土を利用する緑化システムが採用されました。芝生には冬でも緑を持続しやすい「改良コウライシバ種」が採用され、区間によっては施工から12年以上が経過した今も健全に生育しています。
- 掘削後、下地調整
- シラス緑化基盤の設置
- 改良客土充填
- 目土を敷いた後、養生
軌道式緑化の効果
ヒートアイランド現象の緩和
土壌の水分蒸発や芝生の蒸散作用、いわゆる打ち水と同じような効果によって周囲の温度が下がります。鹿児島市の報告によると、夏の晴天時の地表面温度を芝生軌道整備の事前と事後で測定したところ、緑化した軌道敷内で17~18℃、緑化した中央分離帯で24℃低くなり、芝生軌道には路面温度の上昇を抑える効果があることが明らかとなりました。
沿線騒音の低減
芝生及びシラス緑化基盤により吸音効果が高まることが鹿児島市の調査で明らかとなりました。深夜の時間帯に電車を試走させて、電車の騒音のみを測定したところ、電車通過時の最大の騒音レベルは、軌道敷緑化した地点で4db(デシベル)1)、軌道敷緑化と軌道改良した地点で9db2)低下。また、電車による1日平均の騒音レベルは、軌道敷緑化した地点で3db3)、軌道敷緑化と軌道改良した地点では5db4)低下し、騒音低減に大きな効果があることがわかりました。
- 4db低減とは、20m離れた地点で聞こえていた音が、8mまで近寄らないと聞こえないほど低減したことに相当。
- 9db低減とは、20m離れた地点で聞こえていた音が、3mまで近寄らないと聞こえないほど低減したことに相当。
- 3db低減とは、20m離れた地点で聞こえていた音が、10mまで近寄らないと聞こえないほど低減したことに相当。
- 5db低減とは、20m離れた地点で聞こえていた音が、7mまで近寄らないと聞こえないほど低減したことに相当。
出展
「かごしま市電 軌道敷緑化・ライトアップ事業」鹿児島市
「鹿児島市 市電軌道敷緑化整備事業」鹿児島市
軌道敷緑化 対応製品 |
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軌道敷緑化の施工事例 |
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