FLOOD集中豪雨時の水害対策(緑地空間を活かした雨水流出抑制施設の計画)
近年の台風の異常発生や都市型集中豪雨による大量の雨水は、既存インフラによる処理だけでは対応しきれていないのが現状です。下水道管の老朽化対策は大きな課題となっており、法定耐用年数50年を超えた下水道管は今後も急増するとされています。こうした中、既存インフラの長寿命化対策と、グリーンインフラの緑の機能を併用して都市基盤として機能させようとする新たな取組みが始まっています。植栽や土壌のもつ自然の仕組みを利用して、たとえば雨水の貯留・浸透、流出抑制、汚染物質の除去、利活用、地下水涵養などを行い、洪水などの対策にしようというものです。普段の緑地設計にグリーンインフラの視点を取り入れることにより、既存インフラの負担を軽減させる流出抑制施設の計画についてご紹介します。
グリーンインフラを活用した雨水の流出抑制
雨水貯留浸透槽は、「狭く、深く」から「薄く、広く」へ
わが国の多くの自治体では、局地的集中豪雨対策としてha当たり約600㎥の雨水流出抑制措置を義務付けています。これをクリアするために、これまではコンクリートやプラスチック製雨水貯留槽を活用し、地上部の改変面積を「狭く」し、その分地下に「深く」建設が進められてきました。しかし昨今は、地下水位が高い場所、曲がりくねった狭い場所などでは、従来通りの方法では雨水貯留浸透施設を設置できない場所が多くあります。それにもかかわらず豪雨対策施設の設置は求められています。図は、従来型と雨水貯留浸透基盤を使用した場合の地下水位からの必要離隔を考慮した場合の設置位置を示しています。従来の場合に比べて、雨水貯留浸透基盤は薄く設置することが可能ですので、地下水位の高い場所での設置が可能となります。また広く施工できれば地中への浸透面積を広く確保できて、浸透適地の場合雨水対策量を安価に増加することができます。
従来型の雨水流出抑制施設とグリーンインフラ(雨水貯留浸透基盤)
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レインガーデン工法
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植栽施工完了
検討フロー
- 1. 雨水流出抑制対策量を算出(a)
- 2. 緑地計画からグリーンインフラで得られる対策量を試算(b)
- 3. 残る対策量を従来型施設で検討(a-b)
- 4. 2-3をすり合わせ計画を決定
植栽基盤や排水層に雨水貯留浸透基盤材を使用することで、グリーンインフラによるプラスαの機能性を付与した緑地空間をデザインすることができます。
芝生地の排水層に使用
特徴 |
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・グラウンドなどの平坦地に適用。 ・浸透面が大面積となる為、浸透を最大限に活かした施設となる。 |
植栽基盤と排水層に使用
特徴 |
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・外構緑地や庭園に適用。 ・緑地を窪地状にして、雨水を敷地内地下に貯留浸透させる。 ・地表面貯留を併用することで、より効果の高い施設となる。 |
中・高木植栽桝を集水桝として使用
特徴 |
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・単独植桝に適用。 ・樹木の根元が大型の貯留浸透施設として機能する。 |
植栽基盤、植穴外周の路床部に使用
特徴 |
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・外構や街路、歩道の中高木周辺に適用する。 ・雨水流出抑制量を効率良く確保することができる。 |
雨水貯留浸透基盤材は、地域によって供給可能な製品が異なります。詳細についてはお問い合わせください。
現地地盤の透水性能が低い場合(透水係数0.14m/hr以下)には、排水施設を併用ください。
集中豪雨時の水害対策 対応製品 |
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集中豪雨時の水害対策の施工事例 |
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