ROOT根上がり対策
街路樹の根上がりによる不陸は、歩行者の通行の妨げとなるだけでなく、踏圧によりさらに締め固められ、更なる根上がりが発生する悪循環を引き起こします。こうした根上がり対策としては、根の伸長域を確保する「根系誘導耐圧基盤」工法が有効です。既存樹木の根上がりの補修方法としてだけでなく、新植時の予防措置として採用することで、根上がりや生育不良を未然に防ぐことができます。「街路樹の基盤づくり」では、樹木の根の生育特性を理解し、将来成長する樹木の大きさに合わせた根の伸長範囲を確保することが有効です。
根上がり現象とその原因
樹木周辺の土壌が硬いと、根は地表面に近い場所に伸び、やがて歩道の舗装を持ち上げ根上がりを起こします。転倒などの歩行者への災害を未然に防ぐためにも、対策が必要です。
根の伸長域を確保する(歩道下を生育基盤に活用する)
「街路樹の基盤づくり」では、樹木の生育特性を理解し、設計段階で将来の生育に必要な土量と根系伸長域を確保することが重要です。
改良ポイント
使用区と従来工法
歩道下を生育基盤に利用します。基盤には、「基礎として締め固められた支持力のある硬さ」と、「根系が伸長できる柔らかさ」という、相反する土壌条件を同時に満たすことができる根系誘導耐圧基盤(パワーミックス)を設置します。
根系誘導耐圧基盤の考え方
基本構造断面図
大粒径単粒度骨材で路床部に支持構造を形成します。骨材のかみあわせ空隙に生育助材を詰め込み、根が自由に伸長できる空間を確保します。有効幅員を確保することができるため、狭小な街路樹植栽帯や根上がりを起こした既存植栽桝の改修工事、また建築物外構等に活用できます。
根上がりに伴う歩道改修工事
インターロッキング・路床を撤去し、パワーミックスを充填、十分な転圧をかける。
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根が歩道を押し上げている。
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アスファルト・路床を撤去し、パワーミックスを充填、歩道を拡張。
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根が歩道を押し上げている。
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設計のポイント
①パワーミックスの必要量の計算 |
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植栽予定地の環境条件と樹種を確認します。 (1) 樹種 (2)目標樹形(樹高・目通り幹周・葉張り) (3)植栽桝の形状 等 |
②施工範囲の設定 |
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現地の周辺環境(道路幅・地下埋設物・側溝など)や計画内容を確認します。 |
③地下支柱の検討 |
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根の早期活着を支え、樹木の周りの空間を有効に活用することがでます。 |
④植栽基盤整備計画 |
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生育に適した土壌にするために、植穴客土の品質確保と土壌改良材の混入を検討します。 |
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新設道路施工時の標準断面図
施工範囲の設定
道路計画により、歩道の形状に合わせて植栽枡の深さや広さを検討します。
根系誘導耐圧基盤(将来自立根域)土量設計書を元に、できるだけ道路と縦断方向に将来樹形に必要な土量を確保します。
施工範囲は植栽桝の形状や歩道幅員・地下埋設物などを考慮し、現場状況にあわせて設定します。車道での使用は想定していません。
既存樹木の改修の場合は、歩道を押し上げている根の切断や処置、歩道下の根の掘り起こしの際の正しい処置が必要です。樹木医の立会いをお勧めします。
根上がり対策の施工事例 |
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