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GUIDEサクラの特性と根上がり
サクラの特性と根上がり
10年ほど前から、「桜の根が歩道の舗装を持ち上げて困っています」というお問い合わせが増えてきました。これは、サクラに多くみられる根の生育特性から起きる現象で、「根上がり」といいます。樹木根系図説(著者:苅住 昇)によると、サクラの代表品種ソメイヨシノの根は、地中の浅い位置に根をはり、細根が0.5mm以上に肥大する生育特性を持っています。そのため舗装直下に太い根が発生しやすく、これが根上がりの原因になります。
このソメイヨシノは、明治と第二次世界大戦後に、桜堤や街路樹として全国に多く植栽されました。また昭和39年の東京オリンピックの頃には、高度経済成長の時代を迎え、急激な開発や公害、保護管理の放任等で、全国的にサクラが衰退し、その復興を目的に植栽事業が行われたそうです。戦後から東京オリンピック後に植栽されたサクラは、現在樹齢40年~60年を迎え、幹周りが1mを超える樹木となっています。そして、樹木の成長にともなって、上層に発達した細根も、太く強く成長し、歩道の舗装を持ち上げる要因となっています。
サクラの開花期には夕方など暗い時間帯に歩道を歩くこともあり、実際に歩道の舗装持ち上げにより歩行者がけがをしたという事象も発生しています。バリアフリー環境の整備という視点から、歩道の舗装持ち上げ現象についての対応が求められるケースが増えているようです。
サクラ管理の5つのポイント
一般的に、桜管理のポイントは5つです。桜堤や街路樹の桜の管理には、行政や地域住民による自治会やNPOなど複数の関係者が携わり、管理をしていることが多くあるようです。
しかし、この5つのポイントの実施にあたっては、桜一本一本の状態把握に、樹木医の専門知識を要する場合も多く、通常管理者だけの判断がむずかしいのが現状です。
- 1.日頃の観察により病害虫を早期発見し、消毒、駆除を行なう。
- 2.年に1回は施肥を行なう。(お礼肥、寒肥)
- 3.冬期に整枝、剪定を行なう。
- 4.てんぐ巣病(枝が密生して異常発生するサクラの伝染病)を発見したら、すぐに切除する。
- 5.土壌改良を含め、根の保護に努める。
樹木医による対策事例
東邦レオでは、社内に在籍する多数の樹木医のうち、2名が樹木診断の専門家として活動しています。樹木から発せられる信号は一つだけではありませんし、幹の中の腐れなど、直接目に見えるものばかりでもありません。
そこで、同一の樹木診断技術をベースに国土交通省国総研が開発した独自の診断器具等を用い、樹木の発するサインを定量的に明らかにし、診断結果を基に樹木の状況に合った管理作業の計画や、根上がりへの対策など、具体的な解決策を提案しています。